第12回会田由賞授与式

会田由賞授与式

大阪外国語大学時代の恩師染田秀藤先生が第12回会田由賞(日本スペイン協会主催)を受賞されたので、授与式に出席してきました。先生、恥ずかしいからと在京の卒業生にもまったく受賞を連絡されなかったので、たまたま報道で知って出席できたのはラッキーでした。なにしろ、十数年ぶりに先生の記念講演を聴くことができましたので。
「歴史書の翻訳について思うこと」と題された講演は、歴史書の翻訳に求められる能力とは何か、また、たった一語をどう訳すかにも訳者の歴史解釈が反映されるものだ、という内容で、一般に流布しているワマン・ポマ*1の絵は直筆から版をおこしたものではなく、フランスで出された校訂版に入れられたなぞり描きなので、写し間違いがあったりする、といった興味深いエピソードが満載。原書と校訂版双方をパワーポイントで映写しながらの熱演で、学生時代に戻ったようなひとときでした。
会田由賞は前回から十年以上、空白になっていたそうで、選考委員長の鼓直氏からは「もっと早くに受賞してしかるべき人であったが、会田賞にとっては再開にあたって良い方に受賞してもらえてよかった」という旨のコメントがありました。(写真は左が染田先生、右が鼓氏です)
この夏には、フランシスコ・ピサロの娘(インディオとの混血でピサロの莫大な資産を受け継ぎ、17歳からスペインで暮らした)の研究書の訳書をご出版されるそうで、とても楽しみです。

*1:ワマン・ポマについては染田先生の「アンデスの記録者ワマン・ポマ インディオが描いた<真実>」(友枝啓泰共著)が詳しいです。ポマの絵は「NHKスペシャル 失われた文明 インカ・マヤ アンデス ミイラと生きる」(id:chiseK:20070701)でも使われていました。

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