日本ファンタジーノベル大賞休止について

この移り変わりの激しい世の中で四半世紀も続いたなんて、すごいこと、関係者の方々に感謝あるのみなのですが、それでも、やっぱり寂しいし、ちょっと感傷的になっています。
わたしは平成元年の第1回に初めて応募してから再々挑戦して、第13回で大賞をいただきました。若い頃には、主人公に感情移入して作品の雰囲気にひたる、主観的な読み方しかできなかったのですが、審査員の方々の講評を読むことで、小説を書くことの技術面にも目を向けられるようになりました。
他の賞にも何度か浮気はしましたが、この賞が大本命で、自分の読書傾向、作品傾向からしても、この賞からデビューできたことは、本当に幸運でした。天使がやってきて「あなたの一生分のラッキーはこれでおしまい」と宣言されても文句は言えないところでした。
25年前とくらべれば、いろいろな作品に幻想性や物語性が取り入れられ、受け入れられるようになっていますが、この賞の懐深さはまた格別。読者としても、本当にたくさんの受賞作を楽しませてもらいました。
またそのうち、第二期開始します、というお知らせがあれば嬉しいなあ。

第25回日本ファンタジーノベル大賞授賞式

第25回日本ファンタジーノベル大賞

先日、第25回日本ファンタジーノベル大賞授賞式に出席してきました。
大賞は「星の民のクリスマス」の古谷田奈月さん、優秀賞は「忘れ村のイェンと深海の犬」の冴崎伸さんでした。小谷田さんの作品には心に残る新しさがあり、冴崎さんの作品は人を楽しませる、と選考委員の先生方に評されていました。どちらも面白そうで、読むのが楽しみです。

名著百選2013 〜私が今年、出会った一冊〜

名著百選2013

ブックファースト新宿店で恒例となった「名著百選」に今年も参加しました。昨年はケン・グリムウッド「リプレイ」を選びましたが、今回は辻邦生安土往還記」を挙げました。もう何度、読み返したか知れない、学生時代からの愛読書ですが、今年、ひさしぶりに読み返し、あらためて、短いなかに含まれる歴史の豊穣さを堪能しました。

青瓦の安土城、きらびやかな騎馬パレードなど美しい描写が心に残る、この小説の主人公「尾張の大殿(シニョーレ)」は、わたしにとって永遠のヒーローです。織田信長大航海時代の政治家の一人として、アステカ征服者コルテスと同列で比較される面白さを、ぜひ体感してみてください。

新宿店では、12月15日までフェアがおこなわれています。


名著百選2013 〜私が今年、出会った一冊〜
http://www.book1st.net/event_fair/fair/#a_1873

小松左京『日本沈没』-未来へのヴィジョン-展

近況はといえば、ひたすら長篇を書いています。
SFマガジン8月号に「SFセミナー2013」レポートが載っていました。「シスターフッドの時代に」については、柏崎玲央奈さんがまとめていらっしゃいます。
「ひなのころ」はキンドル版が出ました。「ひなのころ [Kindle版]
明治大学 米沢嘉博記念図書館で、故小松左京氏の『日本沈没』-未来へのヴィジョン-展がひらかれています。日本SF作家クラブからの三つの質問に答える形で寄せられたメッセージが50人分、展示されています。わたしも参加しました。


小松左京日本沈没』-未来へのヴィジョン-展
http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/exh-sakyo.html

日本沈没』へのメッセージ50
1.「日本沈没」には、いつ、どんな理由で目を通されましたか?
2.その時の「日本沈没」の印象はいかがでしたか?
3.「日本沈没」の読書あるいは鑑賞体験が、どのように自分の創作活動に影響を与えていると思われますか? もしこの作品は「日本沈没」 の影響を受けているというご具体的なご自分の作品がありましたら、そのタイトルを挙げてお答えください。

そのメッセージのなかでも触れましたが、学生時代、小松左京氏がわたしの母校にいらして講演をされたことがあります。その講演を聞いて、生まれて初めてくらいに未来について、すごく明るい気持ちになった、それは覚えているのですが、肝心の中身はもうすっかり忘れてしまったのが残念です。「いやあ、このあたりは昔、タヌキやイノシシが出ましてね。わたしがタクシーに乗っていたら、タクシーが衝撃とともに急に止まって、運転手さんが外へ出るからびっくりしていたら「今夜はシシ鍋です」と言う。イノシシをはねたんですな」という前ふりばかりを、くっきり覚えています。

SFセミナー2013

5月3日、SFセミナーに「シスターフッドの時代に」のパネラーとして参加してきました。
魔法少女まどか☆マギカ」の話のなかでAKB48の話を持ち出したのは、最近、ブレイクまでのドキュメントなどを観て、はまっていたからでした。(マイケル・ジャクソンの時といい、はまるのがすごーく遅いのは私のデフォルトです)「Beginner」がとくに好き。AKBの制服をみるたび、まどかの制服を思い出し、「まどか」が実写化されるならメンバーの誰にやってもらいたいか、とか勝手に妄想しています。そんな話も含め、もう少し、じっくりお話できたらなあ、と思いましたが、それはまたいつか、合宿企画に参加できた時の楽しみにとっておきます。
企画の後はサイン会でした。SFではない(あ、でも、70年代80年代のSF作品の題名はけっこう出てきます)「終わり続ける世界のなかで」をお買い上げいただき、ありがとうございました。
SFセミナーに参加するのは十年ぶりくらい。空想小説ワークショップでお世話になった森下一仁先生や当時の受講生の方々と久しぶりにお会いできたのも嬉しかったです。
素晴らしいセミナーを支えていらっしゃる関係者の方々、パネルにお招き下さいましたジェンダーSF研究会の皆さまに感謝いたします。

SFセミナー2013

なんだか、すっかりご無沙汰しております。
もともと不定期の更新ですが、前回の更新は昨年12月。どたばたしているうちに、年はあらたまり、日本ファンタジーノベル大賞受賞者の新年会も終わり(今回の受賞作は江戸と虫がモチーフだったので、場所は蒸し料理屋さんでした)春いちばんも吹きすぎて桜も散り、4月もなかばとなっていました。
小説はせっせせっせと書いています。「ひなのころ」「終わり続ける世界のなかで」と二作、現代日本が舞台の作品が続きましたが、今回は異世界ファンタジー、どうなりますことやら。
さて、「終わり続ける」でシスターフッド賞をいただいたジェンダーSF研究会からSFセミナー企画へのお誘いを受けました。同時受賞作の「魔法少女まどか☆マギカ」にすっかりはまりましたので、そのお話などできたら、と思っています。

SFセミナー2013
2013年5月3日(金)〜5月4日(土)
全電通労働会館ホール 10:00開場〜16:00終了(予定) 


シスターフッドの時代に」 (3日昼企画 12:40-13:40)
出演者:粕谷知世/水島希/高世えり子/小谷真理/柏崎玲央奈
http://www.sfseminar.org/wiki.cgi?page=Top+Page

Copyright (C) 2004-2020 Chise KASUYA. All Rights Reserved.