レイ・ブラッドベリ
ブラッドベリ本人こそが生けるタイムマシーン、フリーリー大佐なんだ、と悟ったのが4年前の2008年、以来、永遠に生きていてくれるのではないか、と、どこかで思っていた節がありました。
彼の作品はどれも大好きですが、個人的にとくに助けられたのはエッセイ集、「ブラッドベリがやってくる―小説の愉快」(晶文社)でした。文章を書くことが好きで好きで面白くてたまらない、その熱が伝わってくるエッセイで、小説を書く時だけではなく、日常生活のすべてをこんなふうに楽しく送ることができたなら、人生、幸せだろうなあ、と思ったものでした。
以下は「たんぽぽのお酒」(北山克彦訳・晶文社)からの引用です。
ぼくはほんとうにいきているんだ! とダグラスはおもう。まえにはそれがぜんぜんわからなかったか、わかっていたとしても、ひとつとして憶えていやしない!
彼はそれを大声で、といって声には出さず叫んだのだ、何回も! 考えてごらんよ、たまんないな! 十二歳になって、たったいまだ! いまこの珍らしい時計、金色に輝く、人生七十年のあいだ動くこと保証つきのこの時計を、樹の下で、取っくみあいしている最中にみつけたのだ。