第20回日本ファンタジーノベル大賞受賞作

・「天使の歩廊―ある建築家をめぐる物語」中村弦 ISBN:4103120819 
長くなりますが、主人公の恩師にあたる人物の言葉がとても良かったので引用させてください。
「彼の建築が国家や社会に実際的な利益をもたらすことはないかもしれんが、どこかにいるひとりの人間のためには役に立つにちがいない。この明治という時代に起こった大波が、いつの日か行きつくところまで行って勢いをうしない、あたりに浮かぶ塵芥ばかりが目に付くようになったときこそ、笠井君のような建築が必要となるのだろう」


・「彼女の知らない彼女」里見蘭 ISBN:4103130113
受賞スピーチのなかで「わたしの人生は一時期、ネットでいうところの『炎上』を起こしていました」と語られていましたが、そういう人生の汗や涙が、きりりとしたしっかり者の女性ランナーに昇華したのだろうと思わされる、すがすがしい青春スポーツ異次元移動小説でした。

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