第36回日本SF大賞贈賞式

つづけて、SF大賞贈賞式にも出かけました。
大賞は谷甲州氏「コロンビア・ゼロ:新・航空宇宙軍史」と森岡浩之氏「突変」の二作、特別賞は牧野修氏「月世界小説」でした。関西ご出身らしいお三方の受賞スピーチ三連発が面白かったです。
去年亡くなられた生頼範義氏への功績賞を、ご子息のオーライタロー氏に手渡されたのは故平井和正氏ご息女の平井摩利氏でした。高校時代、自室には生頼氏が描かれた「幻魔大戦シリーズ」の大きなポスターを3枚も貼っていました。東丈、東三千子、ムーンライト、大好きだった登場人物たちの、大迫力のイラストを思い出した夜でした。
この贈賞式では「叛逆航路シリーズ」を訳された赤尾秀子氏にもお会いし、「叛逆航路」「亡霊星域」(アン・レッキー著・創元SF文庫)を頂戴しました。無数の属躰(分身みたいなもの)を操る軍艦AIの物語、分厚いけれど一気読みでした。

吉川英治賞贈呈式

半年ぶりのクロニカとなりました。熊本、大分で続く地震がとても気になります。どうか早くおさまりますように。
畠中恵さんが「しゃばけ」シリーズで第1回 吉川英治文庫賞を受賞されたので、贈呈式へ出かけました。この文庫賞、 五巻以上の複数巻で刊行されている文庫に授けられる賞とのことで、候補作には「三毛猫シリーズ」「浅見光彦シリーズ」「十津川警部シリーズ」など、超有名かつ長寿シリーズが多数ノミネートされていました。
そのなかでのご受賞、畠中さん、どうもおめでとうございます!

名著百選2015〜私が今年 出会った1冊〜

名著百選2015

今年の前半は「銀の匙」で有名な中勘助にはまっていました。
提婆達多」は簡潔かつ詩的な歴史もので、わたしのストライクゾーンずばりでしたし、「中勘助詩集」も中氏の幅広い作風を楽しめてよかったのですが、今年もおこなわれた名著百選には、鳥たちのおしゃべりが可愛らしい「鳥の物語」(岩波文庫)を選びました。

蒙古の大汗(ハーン)に鳥たちが語る十二の短篇。空を飛ぶ鳥だけに、物語の舞台は日本、中国、インド、中東と幅広い。鳩やひばり、鷹や禿鷲たちの純真さ、愛らしさを味わうために、何度でも読み返したくなります。

なお、「名著百選2015〜私が今年 出会った1冊〜」は、ブックファースト新宿店で12月8日(日)まで開催中です。百選に選ばれた図書を購入すると、推薦文をまとめた冊子がもらえます。


名著百選2015〜私が今年 出会った1冊〜
http://www.book1st.net/event_fair/fair/#a_2333

第35回日本SF大賞贈賞式

第35回日本SF大賞冊子

日本SF大賞の贈賞式に出席してきました。
大賞を受賞されたのは藤井太洋氏の『オービタル・クラウド』(早川書房長谷敏司氏の『My Humanity』(ハヤカワ文庫JA)でした。贈賞のスピーチをされた篠田節子氏が候補作も含めて絶賛されていました。故平井和正氏の功績賞は平井摩利氏が代理受賞されました。
中学生のときに生頼範義氏の表紙にひかれて「幻魔大戦」を買ってから、高校時代までは平井さん漬けでした。とにかく手に入るものはすべて読む、という読み方をしたのは平井さんが初めてです。ファンクラブに入りたくて、でも入り方がよく分からなくて、ようやく入れて嬉しかったり、何もかも嫌になってしまった時も、もうすぐ平井さんのムック本が出るから、それまでは頑張ってみよう、と思ったり。成人してからは、あとがきなどに書かれたハルマゲドンに関する文章に批判的な気持ちが強くなっていたこともあり、お亡くなりになったことを知って、追悼文を書こうと思っても何をどう書いたらいいか分からない状態でした。(平井さんについて以前、書いた文章はこちらです id:chiseK:00020208)
森優氏が長年の友情を振り返って追悼され、東野会長が「わたしのあとがきは平井さんの真似です」とおっしゃっていたり、いろんな方の平井さんに対する思いを聞いて、当たり前のことですが、生身の平井さんは、わたしが思っていた「平井さん」よりもずっと大きい、重層的な方だったんだ、と思った一夜でした。娘さんでいらっしゃる平井摩利氏にご挨拶することができたのも感慨深かったです。

日本ファンタジーノベル大賞受賞者の集い

ファンタジーノベル大賞が昨年をもって休眠となってしまったため、過去の受賞者の方、関係者の方と授賞式でお会いできなくなってしまいました。その代わりに、と催された集いに参加してきました。今回の名幹事は沢村凜さん。選考委員でいらした小谷真理さんも交えての楽しい会でした。

名著百選2014〜私が今年、出会った一冊〜

名著百選2014

名著百選に参加したのは、これで三度め。
初回は「リプレイ」二度めは「安土往還記」と、その年の新著ではないものを選びましたが、今回は、わたしにとっての古典となりそうな、今年4月刊行の作品を紹介させていただきました。
海うそ梨木香歩(岩波書店) 

十年二十年たってアルバムを見返した時、胸がしめつけられるように懐かしいのは旅行やイベントの写真よりむしろ、何でもない日常の写真のほう。時はすべてを変えてしまうから、ありふれた日々は去り、親しい人とは別れ、永遠を思わせた厳かな霊山でさえ変わっていく。
静かで真摯な気持ちにさせてくれる小説です。

明治の廃仏毀釈がモチーフの一つなのですが、色即是空諸行無常といった仏教思想が単なる解説としてではなく、ストーリーそのものに溶け込んでいて、読み終わった後、自分がどこにいるのか一瞬、分からなくなりました。毎日の心配ごとのあれこれがすっぽり抜け落ちて真っ白になり、永遠のなかに連れ出されたようでした。
これを機に、とりこぼしていた作品を続けて何作か読んだのですが、そのうちの一つ、9月刊行の「丹生都比売 梨木香歩作品集」(新潮社)は担当の編集さんが手がけた本だったそうで、ご縁が嬉しくなりました。

名著百選2014〜私が今年、出会った一冊〜(ブックファースト新宿店)
http://www.book1st.net/shinjuku/blog/topics/7991

アマゾン展 ー森に生きる人々と暮らしー

アマゾン展

東京・池袋の古代オリエント博物館で「アマゾン展 ー森に生きる人々と暮らしー」が開催されています。この展覧会では、今年の3月に惜しくも休館となった、山形県鶴岡市のアマゾン民族館の所蔵品が紹介されています。
「アマゾニア」を書く際には、アマゾンで暮す人々が日常生活でどんな道具を使っているのか、アマゾン民族館の展示物をずいぶん参考にさせていただきました。ゴムまりや仮面、樹皮による全身像など、作中で重要な意味をもたせた物も幾つかあります。休館はとても残念でしたので、久しぶりに東京でアマゾンの品々を観ることができて嬉しかったです。
ギャラリートークでは、アマゾン民族館の館長で、2万点にもおよぶコレクションを集められた山口吉彦氏からじきじきに、収集時のエピソードなどをうかがうことができました。装飾用の羽を取る時には先の丸い矢で射て鳥を殺さない、とか、大きな仮面(亀の甲羅で出来ていたりします)の目が、かぶる人の目とずれているために、仮面をかぶるとふらふらする、とか。この時は、アナコンダジャガーの毛皮を触ることができました。
アマゾン展の開催期間は9月13日(土)〜11月24日(祝・月)です。ギャラリートークは10月25日にもあるそうですので、ご興味のある方はぜひお出かけください。


アマゾン展 ー森に生きる人々と暮らしー
http://aom-tokyo.com/see.html

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