第37回日本SF大賞贈賞式
一年ぶりの更新となりました。申年は騒ぐというそうですが、去年は無闇に忙しかった年で、鬼軍曹にしごかれた感があります・・・。いずれ、小説に生かせればいいなあ。小説は、ここ数年、取り組んでいた異世界ファンタジー2作に区切りをつけ、日本史をテーマにした新しい話を書き始めました。
今もあれこれとバタバタなので、出られないかも、と心配したのですが、なんとかSF大賞の贈賞式と祝賀パーティに出席することができました。
・大賞「WOMBS(ウームズ)」白井弓子(小学館)
・特別賞「シン・ゴジラ」庵野秀明:総監督/樋口真嗣:監督/尾上克郎:准監督・特技統括(東宝)
ご受賞おめでとうございます。
わたしは「エンダーのゲーム」が好きなのですが、大賞の「WOMBS(ウームズ)」において、宇宙で戦闘するのは少年ではなく、妊婦。アイデアのすべてが妊娠中のあれこれ(つわりとか体重制限とか)ときっちりからんでいて、しかも、ハードな軍事もの。わたしも出産を体験しましたが、確かにあれは、未知との遭遇の連続、SFチックな生活でした。それをさらに、軍役生活になぞらえた着想はホントに凄いです。「スターシップ・トゥルーパーズ」や「アバター」が好きな方にもお勧めです。
「シン・ゴジラ」は、とにかく、圧倒されて何度も観ました。非常事態にみんなで力を合わせて頑張るっていうシチュエーションには弱いです。今年の大河ドラマを見ながら、いけずな鶴丸くんが、いつ「ごめんなさい」を言ってくれるのか、つい期待してしまう。(いや、絶対、言わないと思うけど)
パーティでは、樋口監督にお会いできて感激して、一緒に写真を撮っていただいてしまいました。ミーハーして、すみません。
第36回日本SF大賞贈賞式
つづけて、SF大賞贈賞式にも出かけました。
大賞は谷甲州氏「コロンビア・ゼロ:新・航空宇宙軍史」と森岡浩之氏「突変」の二作、特別賞は牧野修氏「月世界小説」でした。関西ご出身らしいお三方の受賞スピーチ三連発が面白かったです。
去年亡くなられた生頼範義氏への功績賞を、ご子息のオーライタロー氏に手渡されたのは故平井和正氏ご息女の平井摩利氏でした。高校時代、自室には生頼氏が描かれた「幻魔大戦シリーズ」の大きなポスターを3枚も貼っていました。東丈、東三千子、ムーンライト、大好きだった登場人物たちの、大迫力のイラストを思い出した夜でした。
この贈賞式では「叛逆航路シリーズ」を訳された赤尾秀子氏にもお会いし、「叛逆航路」「亡霊星域」(アン・レッキー著・創元SF文庫)を頂戴しました。無数の属躰(分身みたいなもの)を操る軍艦AIの物語、分厚いけれど一気読みでした。
名著百選2015〜私が今年 出会った1冊〜
今年の前半は「銀の匙」で有名な中勘助にはまっていました。
「提婆達多」は簡潔かつ詩的な歴史もので、わたしのストライクゾーンずばりでしたし、「中勘助詩集」も中氏の幅広い作風を楽しめてよかったのですが、今年もおこなわれた名著百選には、鳥たちのおしゃべりが可愛らしい「鳥の物語」(岩波文庫)を選びました。
蒙古の大汗(ハーン)に鳥たちが語る十二の短篇。空を飛ぶ鳥だけに、物語の舞台は日本、中国、インド、中東と幅広い。鳩やひばり、鷹や禿鷲たちの純真さ、愛らしさを味わうために、何度でも読み返したくなります。
なお、「名著百選2015〜私が今年 出会った1冊〜」は、ブックファースト新宿店で12月8日(日)まで開催中です。百選に選ばれた図書を購入すると、推薦文をまとめた冊子がもらえます。
名著百選2015〜私が今年 出会った1冊〜
http://www.book1st.net/event_fair/fair/#a_2333
第35回日本SF大賞贈賞式
日本SF大賞の贈賞式に出席してきました。
大賞を受賞されたのは藤井太洋氏の『オービタル・クラウド』(早川書房)長谷敏司氏の『My Humanity』(ハヤカワ文庫JA)でした。贈賞のスピーチをされた篠田節子氏が候補作も含めて絶賛されていました。故平井和正氏の功績賞は平井摩利氏が代理受賞されました。
中学生のときに生頼範義氏の表紙にひかれて「幻魔大戦」を買ってから、高校時代までは平井さん漬けでした。とにかく手に入るものはすべて読む、という読み方をしたのは平井さんが初めてです。ファンクラブに入りたくて、でも入り方がよく分からなくて、ようやく入れて嬉しかったり、何もかも嫌になってしまった時も、もうすぐ平井さんのムック本が出るから、それまでは頑張ってみよう、と思ったり。成人してからは、あとがきなどに書かれたハルマゲドンに関する文章に批判的な気持ちが強くなっていたこともあり、お亡くなりになったことを知って、追悼文を書こうと思っても何をどう書いたらいいか分からない状態でした。(平井さんについて以前、書いた文章はこちらです id:chiseK:00020208)
森優氏が長年の友情を振り返って追悼され、東野会長が「わたしのあとがきは平井さんの真似です」とおっしゃっていたり、いろんな方の平井さんに対する思いを聞いて、当たり前のことですが、生身の平井さんは、わたしが思っていた「平井さん」よりもずっと大きい、重層的な方だったんだ、と思った一夜でした。娘さんでいらっしゃる平井摩利氏にご挨拶することができたのも感慨深かったです。